「溶接工」の仕事内容、必要な資格、そして未経験から目指す方法を教えます

2021年09月29日

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溶接工にはハードで危険な重労働というイメージがあり、敬遠する人も多いかもしれません。しかし実際は技術と安全知識を身につければ、男性はもちろん女性でも活躍できます。資格試験を管轄する日本溶接協会（JWES）では女性にお薦めの職業として溶接工をPRしているほどです。
ここでは、溶接工の仕事内容や必要な資格、未経験から目指す方法についてご紹介します。

溶接工の仕事内容と溶接の種類

溶接工とは

溶接とは、材料を加熱・加圧することで、2つの材料（部材）を接合する加工技術です。加熱・加圧だけでなく、溶加材（溶かして使用する接着剤）を使って接合する場合も溶接です。
溶接の仕事は幅広く、自動車の部品、金属アクセサリー、家具、公園の遊具、時計など、手掛ける製品は多岐にわたります。
溶接の方法としては「融接」「圧接」「ろう接」の3種類があります。

融接

溶接方法のなかで最も基本的なものです。部材に熱を加えて溶かし、それぞれ溶かした2つの部材を接合させ、そのまま冷やして固める方法です。溶接方法としてよく知られる「アーク溶接」もこの方法に当てはまります。

圧接

プレス機などの機械で部材に圧力を加え、2つの材料を接合する方法です。この方法は、特に硬い金属製の部材をくっつけるときなどに用いられます。

ろう接

鑞（ろう）＝溶加材を用いて、部材そのものを溶かすことなく各部材を接合する方法のことをいいます。溶加材が、ろうなので「ろう接」と呼ばれますが、溶加材がはんだなら「はんだ付け」になります。

溶接が必要な場面

一般機械の現場

自動車や重電機など、一般機械の製造分野では溶接加工の技術が必要になります。この分野の作業は基本的に工場内で各部品に溶接が行われ、そのあとに組み立てられて輸送されます。各部材ごとに溶接作業を行うので、扱う材料のサイズそれほど大きくありません。

建設現場

比較的サイズの大きい材料（建材）を用いるため、作業レベルは難しくなります。また。工場内で使われるようなプレス機による圧接はほとんど行われず、「融接」と「ろう接」の割合が多くなります。

溶接工に必要な資格

溶接技能者

「溶接技能者」の資格は、溶接工として働くうえで最も基本的な資格のひとつです。日本溶接協会が実施する評価試験を受け、合格すれば資格を取得することができます。
溶接技能者の資格は細分化されており、例えば「アーク溶接技能者」「アルミニウム溶接技能者」「ステンレス鋼溶接技能者」など、自分が就きたい職種を考えたうえで選択する必要があります。
さらにその種類ごとに「基本級」と「専門級」の2つのレベルが設定されています。これはどんな態勢で作業を行うかを基準にしたもので、基本級は「下向きの態勢で行う溶接、板の溶接」のみです。
これに対して専門級は「立ったままの溶接、また横向き・上向き、水平・鉛直固定での溶接、板・管の溶接」といった幅広い作業、難易度が高い作業が対象となっています。

溶接管理技術者

溶接技能者よりもさらに上の資格で、溶接技術だけでなく作業現場における「管理能力」が求められます。この資格を取得すると、単に溶接作業をするだけでなく、工事や施工現場における管理、監督、計画、実行を任せられる立場になります。溶接管理技術者の資格は、溶接技能者と同様に日本溶接協会が実施する試験を受けて取得できます。
溶接管理技術者として管理や監督を任せられると当然基本給も高くなり、給与以外の手当が出ることもあります。

未経験から溶接工を目指す方法

専門知識を身に付ける

未経験から溶接工になるには、まずは専門の知識と技術を身に付ける必要があります。一般的には、工業高校、専門学校、職業訓練校の「溶接技術科」「溶接技術取得コース」などで学ぶのが一般的です。中卒や高卒、また社会人になってから未経験で溶接工を目指す場合は、職業訓練校で受講して知識と技術を学ぶ方法もあります。

資格を取得する

溶接工の仕事をする場合は資格が必要です。資格がなければ即戦力の溶接工（技術者）として採用されません。まず溶接工の資格で特に基本とされる「ガス溶接」「アーク溶接」の2つの資格の基本級・専門級を取得しましょう。
また、採用が決まってもそれで終わりということではなく、溶接工として働きながら新しい資格取得を目指すことも大切です。資格が増えれば手当がもらえるようになるだけでなく、仕事の幅も増えてさらにキャリアアップしていくことができます。

溶接女子も活躍

火花が飛ぶ中で黙々と作業する溶接工の仕事は、多くの人が思い込んでいるほど危険でもハードでもありません。女性にもぜひ積極的に取り組んでほしいと、日本溶接協会では「溶接女子」のために、ホームページで有名アイドルの体験動画を公開したり、マンガなどを掲載したりして「溶接女子」をアピール。興味と親近感を掻き立てています。